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医療法人社団誠馨会
千葉中央メディカルセンター

〒264-0017
千葉市若葉区加曽利町1835-1
TEL:043-232-3691
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午前8時15分〜

※来院前に必ず各科の診療時間をご確認ください。

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http://www.ccmc.seikei-kai.or.jp/

  • 当院は2007年10月に日本医療機能評価機構ver.5.0による認定更新をしました。

看護部紹介|インタビュー

インタビュー 金塚医師、飯田看護師、武元看護師、石井看護師

当院には、良質な医療提供のために一般診療科の他に、専門性をより重視し社会的要求の高い分野の院内専門センター(糖尿病センター、心臓血管センター(循環器内科・心臓血管外科)、脳卒中センター、脊椎脊髄センター)を設置し診療にあたっています。今回は、その中の「糖尿病センター」でご活躍される医師・看護師にセンター開設〜地域に根付いた医療の提供など、診療の様子ともに患者さんや次世代の医療従事者への熱い思いを伺いました。

千葉県最初の糖尿病専門施設を立上げ!!半分冗談、半分本気の発言から即現実に結びつける行動力ここにあり

――糖尿病センターを設立された経緯を教えて下さい。

金塚:糖尿病センターが設立されたのが、平成11年4月なので、もう13年も経ちます。中村孝雄院長と私が大学の同期というご縁もあり、非常勤として当院で糖尿病外来の診療をしていたんです。そんなある日、院長から常勤医として当院で一緒に診療しようと勧誘されました。ちょうど私も大学を辞めて、進路を色々と考えている時期でしたからね。専門の糖尿病専門施設を設け、最先端の医療を提供したいという強い思いで「糖尿病センターを設立していただけるのなら」と半分冗談、半分は本気で口にしたんですよ。当時、千葉県の糖尿病治療は、他府県と比べて明らかな遅れを見せていましたから。でも、口にしてみるものですね。「センターを作るなら、早速、見学に行こう!」と一週間も経たないうちに当時の理事長から連絡をいただいて、びっくりしましてね、迷いつつも勢いに押されて東京にある糖尿病センターへ、理事長・院長・事務長と私の4人で見学に行き、当院でも糖尿病センターを作ることになったんです。

千葉県では、大学病院や公立病院でさえも内科の中に糖尿病外来が含まれていて、糖尿病診療が完結できる独立した施設は、当センターが最初でした。

普段耳にする糖尿病とは? 具体的な治療法は?自覚症状が少なく年齢層も幅広い! 遺伝性と不規則な生活習慣が主な原因

――糖尿病センターが、当院にあることの意義や良さについて教えてください。

金塚:一つは、専門のスタッフが揃っていることです。医師は日本糖尿病学会認定の指導医・専門医で、看護師も日本糖尿病学会の療養指導士がおります。糖尿病の専門知識をもつ看護師がいることで、看護師が栄養指導や生活指導、インスリン注射の指導などを実施でき、様々な取り組みや新しく難しい検査も可能になります。また、管理栄養士による栄養指導や、運動療法士による運動指導も併設の健康スポーツセンターにて受けることができます。

そして、最大の強みは、合併症に関わる診療科が揃っているということです。これにより、関連診療科からすぐに診療やアドバイスを受ける事ができ、検査・治療も最先端の他の病院に引けをとらないトップクラスの糖尿病治療を提供できます。糖尿病センター設置後、人工透析療法室、心臓血管センター、脳卒中センターなどが次々に併設され、腎臓内科・人工透析内科の治療、脳卒中はSCUでカバー、心臓血管センターでは緊急カテーテルやバイパス手術、足の血管の手術も対応しています。壊疽で足にメス入れる必要がある場合も整形外科で治療ができます。眼科も充実していますし、皮膚科・形成外科の協力もある。他診療科と良好な連携が図れている環境にあり、この病院の中で最先端の医療が提供できる。これは患者さんにとって非常に良い治療環境であると思いますよ。また、連携医療機関も50施設以上、そこから紹介される重症患者等を受け、地域の中の糖尿病センターとしても大切な役割を果たしていると思います。

――合併症の話がでましたが、「糖尿病」がどのような病気か教えてください。

金塚:糖尿病は、インスリンをつくる膵臓の細胞が壊れてインスリンが欠乏する、あるいはインスリンの量が減少し、働きも低下するために、血液の中のブドウ糖(血糖)が高くなる病気です。血糖が慢性的に高くなることを高血糖といいますが、高血糖が長く続くと血管の病気が発症します。

ブドウ糖は悪玉のように思えますが、脳のエレネルギー源として大変重要で、少なくなると生命にかかわります。脳は非常に贅沢です。筋肉や内臓は、脂肪などいろいろな原料を燃やし、エネルギーにして活動出来るんだけど、脳だけは違う!基本的にはブドウ糖だけをエネルギー源にしています。脳を守るために、即ち命を守るために、ブドウ糖は肝臓で常時作られています。食事をすると血糖値は上がりますね。食事をしなくても血糖はほぼ一定で、血糖値は70〜100mg/dl位の間で収まっています。他のホルモンや神経も関係していますが、ブドウ糖を作る量を決めているのは、基本的にインスリンです。

インスリンの働きが少なくなると、肝臓でブドウ糖がたくさん作られ過ぎるために高血糖になります。これが糖尿病の本体です。もう一つの血糖値が高くなる原因は、食後、筋肉に糖が入り栄養源となり、血糖値が高くならない仕組みになっていますが、それもインスリンが関係していて、インスリンの働きが不足すると高血糖になります。ブドウ糖は大変重要なのですが、高血糖になると毒になり(糖毒性)、先程話したように血管の病気、さらに神経の病気が発症します。これが糖尿病による合併症です。

例えば、目の網膜というところにある細い血管が詰まり破れて出血する(糖尿病性網膜症)と、視力が低下し、最悪の場合は失明してしまいます。失明の原因は、様々な目の病気に関係しますが、2番目に多い原因が糖尿病による病気です。このことからも、いかに糖尿病の治療が大事か分かりますよね。腎臓の話をしますと、腎臓があまりに悪くなると、血液透析をします。血液透析を受けている患者で、最も多い原因は糖尿病による腎臓の病気(糖尿病性腎症)です。他の腎臓の病気が原因で血液透析を受ける患者さんの割合は年々減ってきていますが、糖尿病が原因で、透析を受ける患者さんは年々増えています。これからも増え続けるでしょうね。それから少し太い血管、心臓の血管(冠動脈)が傷み血液の流れが悪くなる狭心症、血管が詰まり、血液の流れが遮断されて心臓の一部が死んでしまう心筋梗塞が糖尿病の患者さんで多くなりますね。心臓血管センターでは、糖尿病が関係している患者が一番多いのではないでしょか。糖尿病により脳を養う血管が傷んで脳卒中も発症することが多くなります。糖尿病の治療と同時に、合併症の検査と治療が非常に大事です。

――糖尿病が発症する原因は何でしょうか?

金塚:糖尿病には、原因により1型と2型に分類されています。日本の患者さんの約95%が2型で、5%弱が1型。残りわずか1%弱が他の原因になります。

1型糖尿病は、インスリンをつくる膵臓の細胞が壊れてインスリンが無くなってしまうため発病します。そのため、大部分の患者さんでインスリンの注射が必要になります(インスリン依存性)。2型糖尿病は、糖尿病になりやすい体質(遺伝的素因)に加え、過食・運動不足・肥満など、現代の社会環境と不規則な生活習慣による悪影響が原因で、インスリンの量が減少し、働きが低下するために発症します。多くの患者さんで食事や運動と飲み薬(経口血糖降下薬)による治療が必要になります。また、インスリン注射が必要になることもあります。

糖尿病になり易い体質が発症に関係しています。遺伝の問題は非常に大事で、患者さんには必ず「家族歴」を聞いています。だいたい4割位の方が近親者に糖尿病患者がいることが分かっています。この20年ほどどういう遺伝子が関係しているのか研究が進みました。1型糖尿病の発病に関係すると思われる遺伝子、特に免疫に関連する遺伝子、また2型糖尿病に関係すると思われる遺伝子、特にインスリンをつくる細胞で働く遺伝子などが確認されていますが、一つの遺伝子が原因で発病するのでなく(極まれに1つの遺伝子の異常=変異で発病する糖尿病もあります)、多くの遺伝子が関連し合うようですが、まだまだ研究の途上ではっきりしたことは分かっていません。

もう一つは生活習慣・環境の問題です。こちらも非常に大事ですね。糖尿病は、平安時代にも記録に残るくらい昔からある病気です。しかし、近年、特に戦後、2型糖尿病が増えてきています。脂肪分を多く含んだ食品の摂取量と自動車の使用台数が戦後、右肩上がりに増加すると共に糖尿病の患者数も同様に多くなっています。車や電車などの交通機関の発達に伴い運動量が減少するなど社会環境も、糖尿病の発病に大きく関係していると言えます。諸々の生活習慣による悪影響は、一個人で解決できる問題ではないようにも思えます。

――具体的な治療方法について教えてください。

 

金塚:治療法は生活習慣の是正(運動療法と食事療法)と薬による治療ですね。糖分や脂肪分を多く含んだ食品を控えめにすること、また良く歩くように心がけ、体調に合わせた無理の無い運動を続けることがを大切です。薬による治療は大きく分けて2つあります。一つは経口血糖降下薬といって、飲み薬での治療。飲み薬にもたくさん種類があって、インスリンの出を良くする薬や、インスリンの働きを良くする薬、また、腸からの糖の吸収を遅らせる薬など様々です。最近は次々に新しい糖尿病の薬が開発されて、治療に使われています。

もう一つの薬による治療は、インスリンです。1型糖尿病の患者さんでインスリン依存状態(インスリンが出なくなり、インスリンを注射しないと生命に関わる)の場合、2型糖尿病でもインスリンの出が大変悪い場合などにインスリン療法が必要になります。また、糖尿病の患者さんで、肺炎など重症の病気を発病した方も一時インスリン注射を必要とする場合があります。

石井:よくテレビなどで、お腹などにインスリンを打つ影像をご覧になられた方も多いですよね。

金塚:患者さんにとって身体的・精神的な負担は大きいけれど、必要な場合は辛抱していただくしかありません。しかし、昔のように注射器を使用するのではなく、今はインスリンデバイスと言うんですかね、必要量を摘みで調節し、お腹を摘んで極々細い針を刺すだけの簡単なものに進化していて、患者さんの苦痛は少なくなっています。

武元:ご高齢になり、70歳を過ぎてから始められる方もいらっしゃいますね。中には通院されていて、80や90歳過ぎからスタートされる患者さんもいらして、覚えるのが少し大変そうですけれども・・・。

金塚:そうだね、90歳過ぎの患者もいますね。

――糖尿病になる方は増えているのですか?年齢層は幅広いですか?

金塚:ええ、増えていますよ。

石井:年齢の幅は広いですね。

金塚:1型糖尿病は小児に多いけれど、ピークは16歳あたり。小児が多いと言っても、成人でも、40〜80歳過ぎても突然発症する患者さんもいます。1型糖尿病は小児だけの病気ではないですね。2型糖尿病は、先ほど言った生活習慣などの理由で年々増えているのが現状です。高齢者に多いですね。

武元:2型糖尿病の年齢層は、低くなっていますよね。

金塚:40代から徐々に増えている。実際に通っている患者は、どんどん高齢になり、60代がセンターとしては一番多いのかな。

石井:何十年単位で病気と向き合っていかれますので。

金塚:例えば、肺にばい菌が付いて肺炎になり、抗生物質を飲み治れば終わりというような病気はあるけれど、糖尿病に限らず成人の病気は、一生、付き合わなくてはならない場合がほとんどだと思いますよ。糖尿病でも、きちんと治療すれば、日常生活は普通に送れるし、必要以上に苦しまなくても済みますね。

――治療を始めるのは、どのようなきっかけですか?自覚症状がありますか?

金塚:軽い場合には症状は無いので、健診などで指摘を受けるのが入口かな。だから健診は非常に大事ですよ。ただ、若い人はあまり健診自体を受けないね。例え健診を受けても、糖尿病の疑いを指摘されても、なかなか受診しないのが現状かな。

武元:症状がないですからね。痛みなどが出れば、病院に行こうという気持ちにもなるかもしれませんが、結局のところ健診で見つかっても、普段の生活には支障が無いので、40代50代の働き盛りの方は、ちょっと数値が高いだけで症状が無いとそのまま過ごして、ある日、気が付いたら、体のだるさや、喉が渇くなど症状が出て「以前、数値が高いと言われたことがあった」という方も、実は結構いらしゃいます。

石井:そうですね、患者さんの中には、一度、指摘を受けたことがあるとおっしゃる方はいらっしゃいますね。糖尿病の気がある、と言われてもなかなか直ぐに受診に結びつかないのが悲しい現実です。急に痩せた、のどが渇く…インターネットで調べると糖尿病に当てはまるかもしれない、と思って来院される方も結構いらっしゃいますね。

武元:反面、中には健診での疑いを心配され、まだまだ問題無い方でも、糖尿病センターを受診したいと早めに来院される方も大勢いらっしゃるんです。両極端かもしれませんね。

金塚:でも、やはり、早い方がいいですよね。症状が出る前に来てもらうのが望ましい。症状が進んでから病院に来るとそれだけ治療が大変だし、合併症が発症する前に治療することが大事ですよ。

高齢化、経済的負担、核家族化・・・、多くの課題が山積 イベントの中で交流を図る「あゆみの会」で、情報提供や知識の伝達に励む

――長年、糖尿病の診療に関わっていらして、特に記憶に残る患者さんのエピソードなどはありますか

 

金塚:そうですね。例えば、まだ若いのに非常に悪い状態で紹介されてきた患者が良くなった例がありますね。20代で、初診時にすでに大量のインスリンを注射していながら、HbA1cが10%以上と血糖コントロールが大変悪い患者さんがいてね。彼は非常にまじめに治療に取り組まれ、その後、インスリンを減らして血糖値も良くなった。まだ20代と若く、うちの糖尿病センターだったからこそ、様々な検査・治療、看護師の指導も、また本人の真面目な取り組む姿勢もプラスして、いろいろな側面からの治療が可能だったのだと思いますよ。これからの長い人生、彼は、糖尿病と向き合いながら生きていくわけだけど、治療前の状態だとこの先様々な合併症が発症して苦しんだと思いますよ。治療したことで、おそらく合併症を防げる可能性はかなり高くなったんじゃないかな。

高齢の患者では、70歳位の方が、ある病院から、脳卒中を起こしたがインスリンを使用していて治療ができないので、脳神経外科もある当院で受け入れて欲しいというお願いがあってね。この患者は、1型糖尿病を10年前に発症、その中でも、劇症1型糖尿病という、非常に治療自体が厳しいケースだったんだよ。脳卒中で片麻痺の症状が出るなど、ご本人も家族も相当大変でしたが、きめ細かいインスリンの治療とご家族の大変なご苦労により、血糖値が非常に良くなり、元気になられましたね。糖尿病の患者さんは、年齢も生活環境も様々、病状も様々、治療も様々ですね。全ての患者さんに、それぞれ特徴があって、治療や経過は全て違いますね。

――今、糖尿病センターとして抱えている問題はありますか?

金塚:糖尿病センターの抱える問題というよりは、高齢者や社会背景・情勢の問題だね。色々なケースがあるけれど、最近、問題になっているのは、インスリンを打っている患者のうち、認知症の方への治療かな。

武元:そうですね。

金塚:インスリンを打たないと血糖が400などに上がり、最悪昏睡になって命を落としてしまう場合もありえますからね。認知症だと定期的にインスリンを注射すること自体が困難な場合もあって、いま述べたような最悪の事態の可能性が高くなるからね。

武元:核家族が多いですから。認知症の方ご本人に、次も診察に来てくださいねと言っても、それさえも難しいこともあります。

金塚:高齢化が進み、これからますます増えていきますよ。ご家族がいればいいのですが、老夫婦だけの老老介護とか、独居の人もかなり増えています。糖尿病センターには重症な患者さんが紹介されてきますし、これから向き合っていく問題です。

飯田:ご家族がいらっしゃる方でも、ご家庭の都合によっては、ご高齢の患者さんが一人で来院されている場合も多く、難しさもあります。何が何でも治療にこだわるのではなく、患者さんのみならず、ご家族の意見はどうなんだろうかと、ご家族とともに治療を考えることも大切にしています。糖尿病のコントロール優先ではなくて、患者さんの要望を聞きながら、ご家族の様子も伺います。例えば、患者さんがインスリンの注射ができないのにやらないとだめだと非常に真剣にてとらえていて、ご家族も血糖測定などを先生から測定するよう言われたので絶対に測らないといけないなど、負担に感じている場合があります。その場合、ご家族や患者さんが出来る範囲を探しつつ、その想いや状況を先生に伝えることで、先生達もそれを受け止め、治療が続けられるように患者さんやご家族と医療従事者がみんなで考えていくことが必要だと思うんです。なかなか難しい問題ですが、より信頼関係が深まるポイントかな私は思います。

武元:スムーズに治療の進む方がベストですが、何か問題を抱えている患者さんの方が、私たちも踏み込んで声を掛けやすい場合もあり、患者さんや家族と一緒になって考え、問題解決や改善の一歩になる時、大変な中にやりがいを感じています。それに、治療には経済的負担も大きいんですよ。ずっと継続した治療になりますからね。経済的な問題は辛いですね。

金塚:それは本当にそうだね。ついつい医者は、患者さんのために最先端の一番いい治療をと思うんだよ。この治療でこの新薬を使うと良いのではという思いが、どうしても前面に出てくる。でも患者にとっては長く続く経済的な負担の問題があるからね。なかなか難しいですよ。

――「あゆみの会」について教えてください。

金塚:「あゆみの会」は、日本糖尿病協会という組織の下部組織です。県単位で千葉県支部、千葉県糖尿病協会があり、その支部の下に所属しています。その母体の組織というのが、医師・看護師を始めとする医療者と患者が会を作って糖尿病診療の向上の為に協力しましょう、という主旨の会です。患者さん同士も交流をもって、自分たちでも糖尿病治療について考えようという思いがあります。

武元:あゆみの会は年間に何回かイベントを開き、患者さんと医療者の交流、患者同士の交流を持ち、情報提供や知識の伝達なども行っています。

金塚:新年会を開いて、栄養士から出された食事について、カロリーや糖分の話などがあり食事療法の勉強をする。6月には「歩こう会」を設け、健康スポーツセンターの運動療法士も参加して一緒に散歩したり、運動指導もあります。糖尿病協会主催のウォークラリーが秋にあり、皆で歩きましたね。クイズで糖尿病の知識を競ったり、ラリーをやったり。また、「市民のための教室」も開催されて、当センターからも何人か参加して、医療者と患者の交流を持っているんですよ。

次世代へ伝えたい 〜 患者様の気持ちを汲み取った治療法を 〜そして、常に新しいことへのチャレンジを怠らず、診療技術を磨いて欲しい

――看護師も指導をするということですが、糖尿病センター内での連携や信頼関係の深さを教えてください。

金塚:糖尿病センターは専用の待合室があり、一つの部屋になっています。診療の流れとしては、診察前に看護師が予診をとり、体重や血圧の測定などを行い病状のヒヤリングをします。その後、診察室に入り、予診の内容を見ながら私たち医師が診て、何かあれば看護師へ指導を依頼します。医師と看護師のコミュニケーションは非常に良く取れていると思います。

武元:他の外来診療科では、多くの外来看護師が担当していますので、看護師がつく診察室の科が変わることがあります。でも糖尿病センターでは、私たち看護師はセンターの患者さんだけを対応しています。

石井:今、先生がおっしゃったように、先生が私たち看護師のことを信頼してくださって、事前の問診をとらせて頂いたりとか、指導を任せてくださったりということがあるので、私たちもとても充実した看護を行えていますね。先生も積極的に取り組んでくださるので、糖尿病教室とか新しい患者のことで、カンファレンスに参加して頂いたりしています。

武元:そうですね、一般的に外来では先生と看護師のペアの連携になりますが、糖尿病センターの看護師は役割が1人1人違うので、それぞれが判断して先生に報告しています。それぞれの違う役割で動くからこそ、お互いが連携や連絡をとてもこまめ取り、みんなで補い連携が取れていますね。そして、個人個人での役割で動き判断する分、連絡ミスが起きないようにお互いが気をつけて進めている点が、スタッフ間の信頼関係を築いています。

飯田:糖尿病センターでは、診察前に看護師の問診を取ることをみんなで心掛けていて、患者さんの個々の問題点をそれぞれきちんと拾い上げ、事前に先生に伝え、より治療に反映できるように努めています。糖尿病の場合は、生活自体が治療になっていて、血圧の薬などのように飲めば効くというわけではない部分も多いので、例えば食事制限はいつまで続ければいいかなど、患者さんも不満が溜まりやすい面もみうけられて、お話を聞き拾い上げることで患者さんのモチベーションが維持に繋がりますので、このことは糖尿病治療では大切だと感じで今まで続けているんだと思います。スタッフが時間をかけ、細やかに患者さんの考えを治療に反映できるようにと取り組んでいます。

武元:先生に質問をしたり、教えていただいたりもできて交流があるのが良いいですよね。何かやりたいことがあったら看護師の中で話し合い、案を先生に見ていただいてアドバイスをもらい、それを元に、私たちが患者さんの指導を行ったりしているので連携は十分に取れていると思います。

金塚:ええ、そのとおりです。毎週火曜日夕方に、医師・看護師・栄養士等と病棟の回診を、日常の回診とは別に行っています。回診で話し合ったことは、退院後に外来に引き継いで診療を行います。回診後、医師全員でミーティングを開き、最新の論文の読み合わせ会をしています。また、糖尿病センターの運営についても話し合いますが、必要があれば外来看護師にも参加してもらい、話しあい最終的に決定したら実施することにしています。そういう意味でも連携は良いと思いますよ。

飯田:そうですね、働きやすいと思います。私は、最初、糖尿病看護というのが苦手というか…。すみません先生…(笑)

金塚:私も最初はそうでしたよ(笑)。

飯田:どちらかと言うと、苦手な思いがあって今まで避けて通って来た道だと思うんです。でも、いざ糖尿病看護をやってみたら、非常に看護をしているな、という実感ができるんですね。患者さんを、毎回、外来で看ていくので、自分が伝えたことや指導したことで患者さんがこんな風に良く変わられたということが分かると、ちゃんと看護を提供できていることが実感できます。責任も大きいけれど、とてもやりがいを感じます。

石井:やってみないとわからないことですよね。

飯田:そうですね。先生も同じでしたか?

金塚:そうだね。私は千葉大学医学部を卒業して、当時の第二内科というところに入局しました。そこを選んだ理由は、学生時代の仲間が多かったから(笑)。若かったし、まだ自分の中で何がやりたいかというのがはっきり決まっていなかったからね。その後、研究グループで教授から与えられたテーマが「間脳下垂体」という、脳にあるホルモン神経を調整する大事な場所の研究でした。研究自体は非常に興味深いものだったけど、病気として、大学病院でも年に数例しかない病気でね、今後の研究を思い悩んでいました。ところが、研究テーマのホルモンが、インスリンに非常に関係ある物質と分かり、先輩と一緒に糖尿病に取り組もうと話し合いました。これが、糖尿病の研究と臨床を始めたきっかけかな。

始めは糖尿病への知識も興味も少なかったけど、取り組み始めると糖尿病に抱いていたものが違ってね、診療していても大変患者が多いし、心臓病など合併症の問題なども治療しなくてはならないということで、研究のみならず診療も非常に大事だって感じてね、研究の幅も広がって…。

もうかれこれ糖尿病を診て35年になるかな。この間、糖尿病の診療はすごく進歩していますよ。例えば、インスリン注射の話をさっきしたけど、昔はね、ボトルからインスリンを注射器で吸って、注射したんですよ。それに、血液検査でできるのは血糖と尿糖だけ。グリコヘモグロビン、HbA1cも全くなかったくらいだからね。

石井:本当ですか。

金塚:インスリンが、やっと測れるくらいだったんだよ。診療後、夜中にアイソトープ(放射性物質)を使って研究室で測ったんです。飲み薬の選択幅も無かった。インスリンも豚の膵臓から取り出したんですよ。今は、遺伝子工学技術でヒトインスリン、更に良いインスリンが作られています。

石井:今は、たくさんありますよね。

金塚:糖尿病といっても患者によって、原因が違うんだよね。今は、病態に合わせて薬を使いわけているからね。100%オーダーメイドというわけにはいかないけれど、かなり近いものはある。治療も検査方法も、ずいぶん進歩してきたけど、糖尿病の治療はまだまだ未熟だと思うよ。これから益々進歩して、変わっていくでしょう。コレステロールの治療など、薬を処方すれば、90%以上は良くなるけれど、糖尿病を良くする治療は難しい。様々な治療法がある、だからこそ、糖尿病センターでの看護師さんも大変ですよ。いろいろな症状、環境の患者に教えていかないといけないからね。

武元:私も色々な患者さんや治療に対応することで、仕事の幅が広がります。合併症として心筋梗塞や脳梗塞が起きる可能性がある旨を患者さんにお話ししていますが、実際に発症し、循環器や脳神経外科に入院された患者さんに対するその後のフォローも大切なので、病棟スタッフととも入院した時点から、糖尿病管理についてもっと話し合い連携を深め、患者さんにも、繰り返さないようにしましょうねなどのお話がもっと出来れば良いのではないかと、私自身、糖尿病センターで看護してきたからこそ思える今後の課題もあります。新しい機械や製品も入ってくるので、その情報や使用方法についていくのも大変でもあり、勉強になります。

金塚:今は、血糖やグリコヘモグロビンの検査も当たり前で、数分もかからない簡易血糖測定もあるしね。

石井:指先を少し刺すだけですから。

武元:今は1分かからずに、ピピピッで測れます。

金塚:以前は、患者から採血して測定器を校正し、30分してからやっと測れて時間がかかっていたし、緊急でも数十分もかかっていた。そういう時代だったんだよね。それを思うと、今は違うね。今年、新しい器械で、連続して血糖を測れるものを導入しました。

石井:年明けから始めたので、患者さんは今2例目ですね。寝ている間とかも測れるんですよ。

武元:ええ、1月中旬から初めました。1週間に一人の割合で3日間連続装着して計測します。新しい機械の使い方も、その都度、先生方も一緒に勉強しながら覚えますから。

金塚:それだけね、進化しているということだね。

武元:飯田さんは、それこそ産前産後関わっていて、とても大変な時期でいろんな新しいしいことも一生懸命取り組んでいますよね。

飯田:そうですね。

金塚:糖尿病センターは、スタッフ間のコミュニケーションが良いというのもあるけれど、新しいことに対して看護師たちが積極的にいろいろと試みるのが良いですね。ただでさえ負担を掛けているのに、忙しい中で取り組んでくれている。糖尿病透析予防指導という新しい指導体制ができ、指導する量が増えるのに、積極的な姿勢で臨んでくれています。新しく取り入れた、CSIIという、電動式の携帯型ポンプを使ってインスリンを持続注入する治療法にも取り組み、先程、話にも出たCGMという、血糖値を数日間連続的に測定できるシステム導入にも、新しくマニュアルを作って体制を整えるなど、看護師達は次々に取り組んでいますね。

武元:先生方にもこれでお願いします、とマニュアルをお渡しします。思いが一緒じゃないと、新しいことに取り組んでも、ズレが生じますからね。

金塚:後ろ向きではなく、前を見ているのが本当に素晴らしい。

飯田:自由に意見を言える雰囲気もありますね。

金塚:多少は、気を遣っているんだよ(笑)。新しいことを言い出すと断られるんじゃないかと(笑)。まぁ、それは冗談だけど。ほんと良くやってくれて、楽しく仕事に取り組めますね。このチームワークで良い診療が出来ていると思いますよ。

――最後に、次世代の若い医師への思いや伝えたいことは?

金塚:患者をいかに治療していくか、どのようなスタンスで診療するかが大事です。医師には最新の知識と医療技術を生かした診療をやってもらわなくてはならない。様々な面で、各々が最善の努力をすることが必要です。私からすれば、これまで話したように糖尿病診療は、まだまだ未熟ですから進歩していく領域です。一人一人が、大学での研修や研究が終わったらそれでいいのではなく、常に新しいことに取り組み、新しい知識や診療の技術を身につけていくことが大事だと思います。それは、糖尿病の合併症の発症や進展を防ぐために必要だからです。

治療方法が進化し、医師はすごく良い治療だと思っても、患者がどのくらい要求しているかを汲み取ることも、非常に大事だと思います。我々医師は、エビデンスベースドメディスンという根拠に基づく医療と、臨床研究等を勉強して最善の治療をしようとします。それと同時に、やはりペイシャントセンタードメディスンという患者中心の医療をすることが大事です。患者の立場に立ち、求めることに対して、こういう治療がありますよと伝える。患者の大半はその治療を受け入れるが、中にはそうでないという場合もあります。患者の思いと医師の思いが一つになって、治療が活き、大きな力となります。また、病状の違いや若い人と中年、高齢者では治療内容が違うわけですね。40代の人に対する血糖コントロール治療の度合いや濃厚さと、80代の患者に対しての治療は違います。病状と共に、患者の要望と生活環境を考慮し、患者さんにとって最も望ましいと思われる治療をしていくということが大切です。次世代の若い、熱意ある医師と一緒に、これからも糖尿病の診療に携わっていきたいですね。

地域になくてはならない存在の糖尿病センター。自分たちの治療によって、患者さんを、糖尿病の合併症から守ろうとする熱い思いが伝わってきます。医師と看護師を始めとするスタッフ間のコミュニケーションの良さも、患者さんへの治療に活かされ、そして新しい治療法に積極的に取り組み、患者さんにとっての良い治療を目指す姿勢は、頼もしい限りです。ありがとうございました。

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